あたしは高名で高齢な、ある作家の考え方が大好きで、その方の著書をたくさん読んできた。著書と言っても小説ではなく主にエッセイである。しかし最近どうにも鼻につくようになってしまった。鼻につくなどというのは大変失礼だが、その表現が今のあたしには1番適しているのである。ご自身の昔の事を語り、自分は親からこういう教育を受けたなど、同じ事が何度となく繰り返されるのは、ネタがないからなのか、少し認知症が始まられたのかと心配するくらいである。今の世の中はダメとおっしゃられるが、そんな社会を作ってきたのは先人のあなた方ですよ。自分だけ責任逃れはおやめください。貧しい国の人の事を引き合いに出し、自分は恵まれていると思いなさいというのも、ある種の差別に聞こえます。そんなふうに思ってしまう世の中に一体誰がしたんでしょう。犯人探しをしても意味のないことですけどね。
